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第52回本試験解答解説:択一式「労働基準法及び労働安全衛生法」問1

  • 執筆者の写真: 社労士つつみ
    社労士つつみ
  • 2021年4月29日
  • 読了時間: 5分

労働基準法及び労働安全衛生法


〔問1〕労働基準法第10条に定める使用者等の定義に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。


A 「事業主」とはその事業の経営の経営主体を言い、個人企業にあってはその企業主個人、株式会社の場合は、その代表取締役をいう。


B 事業における業務を行うための体制が、課及びその下部組織としての係で構成され、各組織の管理者として課長及び係長が配置されている場合、組織系列において係長は課長の配下になることから、係長に与えられている責任と権限の有無にかかわらず、係長が「使用者」となることはない。


C 事業における業務を行うための体制としていくつかの課が設置され、課が所掌する日常業務の大半が課長権限で行われていれば、課長がたまたま事業主等の上位者から権限外の事項について命令を受けて単にその命令を部下に伝達しただけであっても、その伝達は課長が使用者として行ったこととされる。


D 下請負人が、その雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するとともに、当該業務を自己の業務として相手方(注文主)から独立して処理するものである限り、注文主と請負関係にあると認められるから、自然人である下請負人が、たとえ作業に従事することがあっても、労働基準法第9条の労働者ではなく、同法第10条にいう事業主である。


E 派遣労働者が派遣先の指揮命令を受けて労働する場合、その派遣中の労働に関する派遣労働者の使用者は、当該派遣労働者を送り出した派遣元の管理責任者であって、当該派遣先における指揮命令権者は使用者にはならない。



解答:D

解説:

労働基準法上の「使用者」の定義について、条文および通達レベルの出題です。


肢A:誤

まずは条文から。

労働基準法第10条

この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。


 そしてこの事業主とは、個人事業であれば企業主個人(設問のとおり)、株式会社などの法人であれば法人そのものをいいます。設問の「代表取締役」は条文にある「事業の経営担当者」にあたります。



肢B:誤

肢C:誤

 通達を参照願います。(昭和22年9月13日 発基第17号)

「使用者」とは本法各条の義務についての履行の責任者をいい、その認定は部長、課長等の形式にとらわれることなく各事業において、本法各条の義務について実質的に一定の権限を与えられているか否かによるが、かかる権限が与えられておらず、単に上司の命令の伝達者にすぎぬ場合は使用者とはみなされないこと。


 つまり、権限が与えられていれば係長等の名称(形式)にとらわれることなく使用者に該当することもありうるわけです(肢Bの逆)。伝達者に過ぎなければ課長といえど使用者に該当しないこともありうるわけです(肢Cの逆)。「権限」「実質」により判断されます。権限が与えられていれば、課長・係長といった労働者であっても、労基法10条にいう「その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」に該当します。


 この他、過去に、社会保険労務士が事業主に該当しうることが出題されていますので注意しましょう。「事業主のために行為をするすべての者」です。


 社会保険労務士は、社会保険労務士法により労働基準法に基づく申請等について事務代理をすることができるが、事務代理の委任を受けた社会保険労務士がその懈怠により当該申請等を行わなかった場合には、当該社会保険労務士は、法10条にいう使用者に該当するものであり、本法違反の責任を問われることとなる(昭62年3月26日基発169号)。(H15択一)



肢D:正

 この肢の前半は適正な請負に関する記述です。

 労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(平成 24 年厚生労働省告示第 518 号)の第2条において、「請負の形式による契約により行う業務に自己の雇用する労働者を従事させることを業として行う」ことが請負の要件の一つとされています。

 そしてこの肢の後半。「自然人」とは「法人」ではない、いわゆる「人」です。請負により事業を行う事業主個人が、自己の雇用する労働者と一緒に作業しているからといって、そのことだけを根拠に「自分は労働者なのだから使用者ではない」なんてことは言えない、という意味の記述です。当然ですね。これが認められたら、一体誰が使用者なのでしょうか。肢B・Cに登場する「課長・係長」も同じです。一般従業員と一緒に作業することもあるでしょう。「だから自分は使用者ではない」とはなりませんよね。

 

肢E:誤

 労働者派遣については、しつこいほど頻出ですので、解説不要かと思いますが、念のため。派遣中は派遣先の指揮命令者が使用者です。派遣元において仕事をしているときは派遣元の責任者が使用者に該当します。


 これと似て非なるものが「出向」です。

移籍型出向の場合には、出向元との労働契約関係は消滅し、出向先との間にのみ労働契約関係が存在するので、出向労働者についてのみ労働基準法における使用者としての責任はすべて出向先が負う。

在籍型出向の場合には、出向労働者は出向元、出向先の双方との間に労働契約関係を有することになり、労働基準法における使用者としての責任は、出向元、出向先及び出向労働者間の取り決めによって定められた権限と責任に応じてそれぞれ出向元又は出向先が負う。


厚労省の資料を参照下さい。

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/02/dl/s0229-5d.pdf




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©社会保険労務士 堤慶喜。Wix.com で作成されました。

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