第52回本試験解答解説:択一式「労働基準法及び労働安全衛生法」問9
- 社労士つつみ

- 2021年11月29日
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〔問 9〕 労働安全衛生法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A 労働安全衛生法は、同居の親族のみを使用する事業又は事務所については適用されない。また、家事使用人についても適用されない。
B 労働安全衛生法は、事業場を単位として、その業種、規模等に応じて、安全衛生管理体制、工事計画の届出等の規定を適用することにしており、この法律による事業場の適用単位の考え方は、労働基準法における考え方と同一である。
C 総括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなければならないが、必ずしも安全管理者の資格及び衛生管理者の資格を共に有する者のうちから選任しなければならないものではない。
D 労働安全衛生法は、事業者の責務を明らかにするだけではなく、機械等の設計者、製造者又は輸入者、原材料の製造者又は輸入者、建設物の建設者又は設計者、建設工事の注文者等についても、それぞれの立場において労働災害の発生の防止に資するよう努めるべき責務を有していることを明らかにしている。
E 労働安全衛生法は、第20条で、事業者は、機械等による危険を防止するため必要な措置を講じなければならないとし、その違反には罰則規定を設けているが、措置義務は事業者に課されているため、例えば法人の従業者が違反行為をしたときは、原則として当該従業者は罰則の対象としない。
解答:E
解説:
「両罰規定」という言葉を覚えていた人は、他の肢に時間を取られることなく、肢Eを選択できていたことでしょう。両罰規定とは、法人などの事業主体の代表者や従業者などが、業務に関して違反行為をした場合に、直接の違反者を罰するほか、その事業主体(法人)をも罰することを認めている規定のことです。
肢A:正
労働安全衛生法の適用範囲は、労働基準法と同じです。
労働安全衛生法第2条(定義)
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
1 (略)
2 労働者 労働基準法第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。
労働基準法第9条(定義)
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
肢B:正
事業場の業種や規模に応じて、求められる安全管理体制(安全管理者・衛生管理者・産業医・他)が異なることは、既に学習されたとおりです。法第3章「安全管理体制」の各条文には「事業場ごとに」という言葉が並んでいます。そして、労働基準法にも同じく「事業場」という言葉が並んでします。これらの定義は同じです。
以下、通達(昭和47年9月18日 基発91号)からの抜粋です。
事業場の範囲
この法律は、事業場を単位として、その業種、規模等に応じて、安全衛生管理体制、工事計画の届出等の規定を適用することにしており、この法律による事業場の適用単位の考え方は、労働基準法における考え方と同一である。
すなわち、ここで事業場とは、工場、鉱山、事務所、店舗等のごとく一定の場所において相関連する組織のもとに継続的に行なわれる作業の一体をいう。
したがつて、一の事業場であるか否かは主として場所的観念によつて決定すべきもので、同一場所にあるものは原則として一の事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とするものである。
しかし、同一場所にあつても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、その部門を主たる部門と切り離して別個の事業場としてとらえることによつてこの法律がより適切に運用できる場合には、その部門は別個の事業場としてとらえるものとする。たとえば、工場内の診療所、自動車販売会社に附属する自動車整備工場、学校に附置された給食場等はこれに該当する。
また、場所的に分散しているものであつても、出張所、支所等で、規模が著しく小さく、組織的関連、事務能力等を勘案して一の事業場という程度の独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して一の事業場として取り扱うものとすること。
肢C:正
総括安全衛生管理者の選任要件に、資格・講習・試験はありません。安全管理者は講習、衛生管理者は試験、産業医は医師のうち講習を受けたもの、ざっくりそのような覚え方で良いと思います。総括安全衛生管理者の選任が求められる業種・規模を整理しておきましょう。
労働安全衛生法第10条 (総括安全衛生管理者)
(略)
2 総括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない。
肢D:正
機械の製造者については第37条~38条、注文者の講ずべき措置は第31条、などなどが該当します。
肢E:誤
両罰規定が問われています。
労働安全衛生法第122条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第116条、第117条、第119条又は第120条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
設問の「20条違反」の罰金は119条に定められています。
両罰規定は労働基準法にも定められています。
労働基準法第121条
この法律の違反行為をした者が、当該事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為した代理人、使用人その他の従業者である場合においては、事業主に対しても各本条の罰金刑を科する。ただし、事業主(事業主が法人である場合においてはその代表者、事業主が営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者又は成年被後見人である場合においてはその法定代理人(法定代理人が法人であるときは、その代表者)を事業主とする。次項において同じ。)が違反の防止に必要な措置をした場合においては、この限りでない。
② 事業主が違反の計画を知りその防止に必要な措置を講じなかつた場合、違反行為を知り、その是正に必要な措置を講じなかつた場合又は違反を教唆した場合においては、事業主も行為者として罰する。

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