第52回本試験解答解説:択一式「労働者災害補償保険法」問6
- 社労士つつみ

- 2021年12月27日
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〔問 6〕 業務災害の保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため所定労働時間のうちその一部分のみについて労働し、当該労働に対して支払われる賃金の額が給付基礎日額の20%に相当する場合、休業補償給付と休業特別支給金とを合わせると給付基礎日額の100%となる。
B 業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合に限り、その日において、使用者は労働基準法第81条の規定による打切補償を支払ったものとみなされ、当該労働者について労働基準法第19条第1項の規定によって課せられた解雇制限は解除される。
C 業務上の災害により死亡した労働者Yには2人の子がいる。1人はYの死亡の当時19歳であり、Yと同居し、Yの収入によって生計を維持していた大学生で、もう1人は、Yの死亡の当時17歳であり、Yと離婚した元妻と同居し、Yが死亡するまで、Yから定期的に養育費を送金されていた高校生であった。2人の子は、遺族補償年金の受給資格者であり、同順位の受給権者となる。
D 障害補償給付を支給すべき身体障害の障害等級については、同一の業務災害により身体障害が2以上ある場合で、一方の障害が第14級に該当するときは、重い方の身体障害の該当する障害等級による。
E 介護補償給付は、親族又はこれに準ずる者による介護についても支給されるが、介護の費用として支出した額が支給されるものであり、「介護に要した費用の額の証明書」を添付しなければならないことから、介護費用を支払わないで親族又はこれに準ずる者による介護を受けた場合は支給されない。
解答:D
解説:
肢A:誤
休業補償給付における一部労働の扱い、私は「労働不能部分の6割支給」と暗記していました。もう少し正確に言うと「給付基礎日額からその労働に対して支払われる賃金の額を控除した額の6割」です。健保の傷病手当金だと「標準報酬日額の6割と貰った賃金との差額が支給される」と暗記していました。
設問は、休業特別支給金と絡めて、話をややこしくしていますが、これを考えなくても正誤判断できる肢です。
肢B:誤
「・・・に限り」という言葉は怪しい。限りなく怪しい。そんな、この試験の鉄則がモロに当てはまる肢ですね。
療養開始後3年を経過した日「後」に傷病補償年金を受けることとなった場合にも打切補償を支払ったものとみなされ、解雇制限は解除されます。
下記条文の太字下線部が根拠です。
労働者災害補償保険法 第19条
業務上負傷し、又は疾病にかかつた労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合又は同日後において傷病補償年金を受けることとなつた場合には、労働基準法第19条第1項の規定の適用については、当該使用者は、それぞれ、当該3年を経過した日又は傷病補償年金を受けることとなつた日において、同法第81条の規定により打切補償を支払つたものとみなす。
労働基準法 第19条第1項 解雇制限
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によつて休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第81条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
労働基準法 第81条 打切補償
第75条の規定によつて補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の1200日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい。
労働基準法 第75条 療養補償
労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。
肢C:誤
遺族(補償)年金の受給資格者となるのは、労働者の死亡当時その者の収入よって生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹ですが、妻以外の遺族については、労働者の死亡の当時に一定の高齢又は年少であるか、あるいは一定の障害の状態にあることが必要です。この受給資格者のうち最先順位にある者が遺族(補償)年金を受けることができる者(受給権者)になります。
受給資格者の順位は
1.妻又は60歳以上か、一定の障害のある夫。
2.18歳年度末までの間にある子又は一定の障害のある子。
3.60歳以上又は一定の障害のある父母。
4.18歳年度末までの間にある孫又は一定の障害のある孫。
5.60歳以上又は一定の障害のある祖父母。
6.18歳年度末までの間にあるか、60歳以上又は一定の障害のある兄弟姉妹。
7.55歳以上60歳未満の夫。
8.55歳以上60歳未満の父母。
9.55歳以上60歳未満の祖父母。
10.55歳以上60歳未満の兄弟姉妹。
これを見れば、19歳と17歳の子が同順位でないことは明らかです。
同居して生計維持(19歳の子)とか、離婚・別居して養育費(17歳の子)などと、受験生を惑わす表現も見受けられますが、設問に「一定の障害状態」に関する記述はありませんので、19歳の子は受給資格者ではありませんし、受給権者にもなりえません。
厚生労働省資料
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-7-02.pdf
肢D:正
同一の災害で異なる部位に障害が残った場合=併合
原則として重いほうの等級に該当する障害補償給付が支給されますが、以下の例外があります。
・第13級以上に該当する身体障害が2つ以上あるときは、重い方の障害等級が1級繰り上げ
・第8級以上に該当する身体障害が2つ以上あるときは、重い方の障害等級が2級繰り上げ
・第5級以上に該当する身体障害が2つ以上あるときは、重い方の障害等級が3級繰り上げ
肢E:誤
介護補償給付の最低補償額に関する出題です。
民家の有料介護サービスを受けた場合は「介護に要した費用の額の証明書」を添付できますが、「親族又はこれに準ずる者により介護を受けた場合」は、この証明書を添付できないこともありえます(費用を支出せずに介護を行った場合)。このような場合に介護補償給付不支給として扱うのは不合理ですので(親族等に負担がかかっている)、最低補償額が設けられています。

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