第52回本試験解答解説:択一式「労働者災害補償保険法」問9
- 社労士つつみ

- 2022年1月31日
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〔問 9〕 労働保険徴収法第12条第3項に定める継続事業のいわゆるメリット制に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A メリット制においては、個々の事業の災害率の高低等に応じ、事業の種類ごとに定められた労災保険率を一定の範囲内で引き上げ又は引き下げた率を労災保険率とするが、雇用保険率についてはそのような引上げや引下げは行われない。
B 労災保険率をメリット制によって引き上げ又は引き下げた率は、当該事業についての基準日の属する保険年度の次の次の保険年度の労災保険率となる。
C メリット収支率の算定基礎に、労災保険特別支給金支給規則の規定による特別支給金で業務災害に係るものは含める。
D 令和元年7月1日に労災保険に係る保険関係が成立した事業のメリット収支率は、令和元年度から令和3年度までの3保険年度の収支率で算定される。
E 継続事業の一括を行った場合には、労働保険徴収法第12条第3項に規定する労災保険に係る保険関係の成立期間は、一括の認可の時期に関係なく、一の事業として指定された事業の労災保険に係る保険関係成立の日から起算し、指定された事業以外の事業については保険関係が消滅するので、これに係る一括前の保険料及び一括前の災害に係る給付は、指定事業のメリット収支率の算定基礎に算入しない。
解答:D
解説:
メリット制についての出題です。メリット制とは「同一業種の事業主間の負担の具体的公平を図るため、個々の事業ごとに、その事業に係る労働災害の多寡により一定範囲で労災保険率又は労災保険料を増減させる制度」です(厚生労働省HPより抜粋)。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhoken01/yougo.html
肢A:正
上記解説のとおり、労災保険料(率)に限った仕組みです。雇用保険料(率)には適用されません。
肢B:正
設問のとおりです。
X年度とX+1年度を比較して要件を満たせば、X+3年度の労災保険率に適用されます。要件を満たしたか否か分かるのはX+2年度です。そのときX+2年度は既に始まっていますので、労災保険率を変更するとすれば最短でもX+3年度から(私はそのように整理しました)。
なお、設問の「基準日」とは、上記X+2年度の年度末(3月31日)のことです(労災保険料徴収法第12条第3項)。
肢C:
設問のとおりです。メリット収支率の計算の分子に特別支給金は含まれます。保険給付も特別支給金も、事業主による災害防止の取組みにより減らすことが可能と考えられます。これに対し、分子から除かれるのは以下4つ。いずれも、事業主の努力ではどうにもならないもの(事業主に責めを負わせるのが酷といえる給付)です。
(1)遺族失権差額一時金及び当該遺族失権差額一時金の受給者に支払われる遺族特別一時金
(2)障害補償年金差額一時金及び障害特別年金差額一時金
(3)特定疾病にかかった者に対し支払われた保険給付の額及び特別支給金の額
(4)第3種特別加入者に係る保険給付の額及び特別支給金の額、です。
肢D:誤
正しくは「令和2年度から令和4年度までの3保険年度の収支率」です。設問の「令和3年度」の末日(令和4年3月31日)では、「労災保険に係る保険関係が成立した後三年以上経過」という要件を満たしていません(徴収法第12条第3項)。
肢E:正
継続事業の一括とメリット制に関する出題です。設問のとおり、一の事業として指定された事業以外の事業は保険関係が消滅します。消滅した事業のことは計算に含めない、という考えです。
別の視点から考えることもできます。一括すると一つの事業とみなされ、事業の規模(人数)が変わります。継続事業に対するメリット制適用の要件である「労働者数が過去3年間100人以上の事業、又は過去3年間20人以上100人未満の労働者を使用する事業であって、それぞれ保険率(非業務災害率を除く。)と労働者数との積が0.4以上の事業」にも影響します。だから、一括した後のメリット収支率を用いることになる、とも言えます。

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