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第52回本試験解答解説:択一式「労働基準法及び労働安全衛生法」問6

  • 執筆者の写真: 社労士つつみ
    社労士つつみ
  • 2021年11月18日
  • 読了時間: 5分

〔問 6〕 労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


A 運転手が2名乗り込んで、1名が往路を全部運転し、もう1名が復路を全部運転することとする場合に、運転しない者が助手席で休息し又は仮眠している時間は労働時間に当たる。


B 労働基準法第32条の3に定めるいわゆるフレックスタイム制を実施する際には、清算期間の長さにかかわらず、同条に掲げる事項を定めた労使協定を行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出なければならない。


C 労働基準法第36条第3項に定める「労働時間を延長して労働させることができる時間」に関する「限度時間」は、1か月について45時間及び1年について360時間(労働基準法第32条の4第1項第2号の対象期間として3か月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあっては、1か月について42時間及び1年について320時間)とされている。


D 労働基準法第37条は、「使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合」における割増賃金の支払について定めているが、労働基準法第33条又は第36条所定の条件を充足していない違法な時間外労働ないしは休日労働に対しても、使用者は同法第37条第1項により割増賃金の支払義務があり、その義務を履行しないときは同法第119条第1号の罰則の適用を免れないとするのが、最高裁判所の判例である。


E 使用者は、労働基準法第39条第7項の規定により労働者に有給休暇を時季を定めることにより与えるに当たっては、あらかじめ、同項の規定により当該有給休暇を与えることを当該労働者に明らかにした上で、その時季について当該労働者の意見を聴かなければならず、これにより聴取した意見を尊重するよう努めなければならない。



解答:B


解説:

 前年に施行された改正法が、いきなり出題されています。働き方改革関連法として世の中の注目を浴びた重要な改正箇所です。


肢A:正

 休憩時間は労働者が完全に労働から離れて自由に利用できることが原則ですので、本肢のように、自由利用が保証されていない待機時間(手待時間)は、休憩時間とはみなされず、労働時間として扱われます。


 条文です。第3項に自由利用が定められています。

(休憩)

第34条 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

② 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

③ 使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない。


 裁判例としては、大星ビル管理事件(最一小判平14.2.28)が、仮眠時間について判断を示しています。仮眠時間(不活動休眠時間)を休憩時間と判断できるか否かは、労働者がその時間帯に「使用者の指揮命令下に置かれていたと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべき」であり、「不活動仮眠時間において,労働者が実作業に従事していないというだけでは、使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる」と述べられています。要は、助手席で寝ていても、事故やトラブルが発生すれば、それに対応することが求められるのだから「完全に使用者の指揮命令下から離脱」できているとは評価できない、ということです。



肢B:誤

 フレックスタイムの労使協定の届出は、清算期間の長短によって扱いが変わります。

 従来、清算期間は1カ月とされていましたが、2019年4月施行の法改正により、清算期間は最長3ヶ月間とされました。そして、従来は届出不要だった労使協定も、清算期間が1カ月を超えるものに限り、届出が必要となりました。

厚労省パンフ ⇒ https://www.mhlw.go.jp/content/000476042.pdf

 また、労使協定の届出の要否については、一覧表にして整理して覚えることをおススメします。



肢C:正

 設問の「労働基準法第32条の4第1項第2号の対象期間として3か月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合」とは、対象期間が3カ月を超える1年単位の変形労働時間制、のことです。

厚労省パンフ⇒

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000123090.pdf



肢D:正

 当たり前ですね。違法な時間外労働に対して割増賃金を支払わなくて良い、なんて法律はあり得ませんよね。



肢E:正

 年10日以上の有休を付与されている労働者を対象に、「年5日の確実な取得」が義務付けられています(2019年4月施行)。

 厚労省パンフ ⇒ https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

 年次有休の取得促進を目的とした制度ですので、聴取した労働者の意見を尊重する努力義務も課せられています。


 条文です。

(年次有給休暇)

第39条 使用者は、第1項から第3項までの規定による有給休暇(これらの規定により使用者が与えなければならない有給休暇の日数が10労働日以上である労働者に係るものに限る。以下この項及び次項において同じ。)の日数のうち5日については、基準日(継続勤務した期間を6箇月経過日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日をいう。以下この項において同じ。)から1年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。ただし、第1項から第3項までの規定による有給休暇を当該有給休暇に係る基準日より前の日から与えることとしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。

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©社会保険労務士 堤慶喜。Wix.com で作成されました。

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