第52回本試験解答解説:択一式「労働者災害補償保険法」問8
- 社労士つつみ

- 2022年1月27日
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〔問 8〕 請負事業の一括に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 請負事業の一括は、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、建設の事業又は立木の伐採の事業が数次の請負によって行われるものについて適用される。
B 請負事業の一括は、元請負人が、請負事業の一括を受けることにつき所轄労働基準監督署長に届け出ることによって行われる。
C 請負事業の一括が行われ、その事業を一の事業とみなして元請負人のみが当該事業の事業主とされる場合、請負事業の一括が行われるのは、「労災保険に係る保険関係が成立している事業」についてであり、「雇用保険に係る保険関係が成立している事業」については行われない。
D 請負事業の一括が行われ、その事業を一の事業とみなして元請負人のみが当該事業の事業主とされる場合、元請負人は、その請負に係る事業については、下請負をさせた部分を含め、そのすべてについて事業主として保険料の納付の義務を負い、更に労働関係の当事者として下請負人やその使用する労働者に対して使用者となる。
E 請負事業の一括が行われると、元請負人は、その請負に係る事業については、下請負をさせた部分を含め、そのすべてについて事業主として保険料の納付等の義務を負わなければならないが、元請負人がこれを納付しないとき、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、下請負人に対して、その請負金額に応じた保険料を納付するよう請求することができる。
解答:C
解説:
請負事業の一括とは、「建設の事業が数次の請負によって行われるとき、個々の下請負事業を独立した事業として保険関係を成立させることなく、法律上当然に数次の下請負事業を元請負事業に一括して元請負人のみを適用事業主として保険関係を成立させる制度」です(厚労省HPより抜粋)。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhoken01/yougo.html
建設業は規模の小さな零細・個人事業が大手の下請として従事する場合が多く、災害のリスクが高いにもかかわらず、責任の所在が不明確になりがちなので、下請事業者(その労働者)の保護を目的に設けられた仕組みです。
その効果は、労災保険に係る保険関係に限って適用されるので、雇用保険の適用、保険料納付、保険給付等については適用されません(それぞれの事業において適用されます)。
肢A:誤
「立木の伐採」がひっかけです。請負事業の一括は「建設の事業」です。立木の伐採の事業は有期事業の一括(労災保険法7条)です。
有期事業の一括は建設の事業または立木の伐採の事業(請負事業の一括は建設の事業)、有期事業の一括は事業主が同一かつ一定規模以下(請負事業の一括は規模要件なし、事業主が異なるものを一括する仕組み)です。
肢B:誤
請負事業の一括は「法律上当然に一括」されるので、届出や申請は不要です。下請負人(その労働者)の保護が最優先された仕組みです。
肢C:正
設問のとおり。上記解説を参照願います。雇用保険に関するものは含まれません(保険料納付も保険給付も)。
肢D:誤
前段の保険料納付義務に関する記述は正しいのですが、後半が誤りです。「労働関係の当事者として下請負人やその使用する労働者に対して使用者になる」とするなら、下請負人が使用する労働者の労働時間管理や賃金支払までもが、元請負人の義務になってしまいます。労働安全衛生法において下請負人の労働者に対する安全配慮が元請負人の義務とされていることと、混同しないように注意しましょう。
肢E:誤
労災保険に係る保険料の納付義務は、元請負人に課せられています。設問のように、元請負人の未納分を政府が下請負人に請求できてしまうなら、下請負人の保護という制度の趣旨が根本から崩れてしまうことが、受験生の皆さんにも想像できますよね?
労働保険事務組合に未納の追徴金・延滞金があり、滞納処分をしてもなお徴収すべき残余があった場合に、政府はそれを事業主から徴収することができます(徴収法35条3項)。この規定との混同を誘う設問ですね。

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