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第52回本試験解答解説:択一式「労働基準法及び労働安全衛生法」問5

  • 執筆者の写真: 社労士つつみ
    社労士つつみ
  • 2021年11月15日
  • 読了時間: 6分

〔問 5〕 労働基準法に定める労働契約等に関する次の記述のうち、正しいものはいくつ

あるか。


ア 専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約については、当該労働者の有する高度の専門的知識等を必要とする業務に就く場合に限って契約期間の上限を5年とする労働契約を締結することが可能となり、当該高度の専門的知識を必要とする業務に就いていない場合の契約期間の上限は3年である。


イ 労働契約の締結の際に、使用者が労働者に書面により明示すべき賃金に関する事項及び書面について、交付すべき書面の内容としては、労働者の採用時に交付される辞令等であって、就業規則等(労働者への周知措置を講じたもの)に規定されている賃金等級が表示されたものでもよい。


ウ 使用者の行った解雇予告の意思表示は、一般的には取り消すことができないが、労働者が具体的事情の下に自由な判断によって同意を与えた場合には、取り消すことができる。


エ 使用者は、労働者を解雇しようとする場合において、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合」には解雇の予告を除外されるが、「天災事変その他やむを得ない事由」には、使用者の重過失による火災で事業場が焼失した場合も含まれる。


オ 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還しなければならないが、この賃金又は金品に関して争いがある場合においては、使用者は、異議のない部分を、7日以内に支払い、又は返還しなければならない。


A 一つ

B 二つ

C 三つ

D 四つ

E 五つ


解答:D(四つ)


解説:


肢ア:正

条文からの出題です。

期間の定めのある労働契約の、期間の上限は次の3とおりです。

・一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの:その期間

・上記肢ア:上限5年間

・上記のいずれにも該当しないもの:上限3年間


条文です。

(契約期間等)

第14条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、5年)を超える期間について締結してはならない。

1 専門的な知識、技術又は経験(以下この号及び第41条の2第1項第1号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約

二 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)

(以下、略)



肢イ:正

 設問のとおりです。労働条件の「明示事項」については頻出ですので、条文を確認しておきましょう。

(労働条件の明示)

第15条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。


労働基準法施行規則第五条

絶対的明示事項

1 労働契約の期間に関する事項

1の2 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項

1の3 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項

2 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項

3 賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

4 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

 ※以上のうち昇給に関する事項を除き、書面/FAX/Eメールにより交付※

相対的明示事項

4の2 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

5 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項

6 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項

7 安全及び衛生に関する事項

8 職業訓練に関する事項

9 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項

10 表彰及び制裁に関する事項

11 休職に関する事項



肢ウ:正

 使用者側からの解雇の意思表示を、これまた使用者側の好き勝手に撤回されたら、労働者も混乱しますので、原則的には撤回できませんが、労働者の同意があり、しかもその同意が具体的事情の下に自由な判断によってなされたものである場合に限り、取り消すことができるとされています。(昭和33年2月13日 基発90号)



肢エ:誤

 事業所の火災は「やむを得ない事由」に含まれますので、解雇予告は除外されます。但し、事業主の重過失による火災は「やむを得ない事由」に含まれませんので、解雇予告/解雇予告手当が必要です(昭和63年3月14日基発150号)。

 解雇予告の除外は、所轄労働基準監督署長の認定が必要です(解雇予告除外認定)。併せて覚えておきましょう。


 以下、関係条文、通達です。

(解雇制限)

第19条 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によつて休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第81条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。

② 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。


(解雇の予告)

第20条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。(以下、略)



肢オ:正

 条文からの出題です。

(金品の返還)

第23条 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。

② 前項の賃金又は金品に関して争がある場合においては、使用者は、異議のない部分を、同項の期間中に支払い、又は返還しなければならない。


 条文にあるとおり、権利者の請求がなければ「7日以内」である必要はありません。次の給料日とか、就業規則、賃金規程、退職金規程など、社内規程に沿って処理すればOKです。そして、争いがない部分だけを「7日以内」に支払い/返還すればよくて、争いのある部分については、この条文には定められていません。

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©社会保険労務士 堤慶喜。Wix.com で作成されました。

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